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zoom RSS サンショウウオのカニバリズム

<<   作成日時 : 2007/04/26 22:16   >>

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進化生態学が流行る前、動物行動学が全盛の頃、種に不利な行動は進化しないと考えられていた。だから、同種殺しは異常な行動で片付けられてしまいました。
今では逆に、種や個体群に有利な行動が進化する、あるいは、種に不利な行動は進化しないといった種選択やグループ選択は、あったとしても特殊なケースに限られると考えられるようになりました。
進化生態学では、同種殺しは進化しうる行動であり、むしろ同種殺しが普遍的とならなかった原因こそが問題となるわけです。
クロサンショウウオやカスミサンショウウオの幼生の共食いは、餌不足ではない状態で常態的に起こります。また、シリケンイモリは同種の卵をよく食べるといわれます。
クロサンショウウオの幼生では、個体群密度が高く、個体間の変異が大きくなると、カニバル・モルフ(共食い型)と呼ばれる大形の個体が生じます。

画像

クロサンショウウオ幼生070425茨城県産。

カニバリズム(共食い)は、ヒトやチンパンジーでも見られますが、決して多くの動物でよく見られるような行動ではありません。共食いが適応的な行動であるなら、いろいろな種で進化したはずです。実際はそうはならなかったわけですから、カニバリズムの進化を抑制する要因があるはずです。
病原体拡散説はかなり説得力があると思います。共食いは病原体に侵されるリスクがあるわけです。たとえば、次のような例をあげれば、理解しやすいのでは。
食人儀式のあるニューギニアのフォア族の風土病であるクールーは、人版狂牛病です。スポンジ状になった死者の脳を食べた人に病原体(プリオン)が感染して発病します。
カニバリズムは、その適応度の上昇が感染症による適応度の低下に勝るときのみ進化しうると考えられます。

ところで話は変わりますが、クロサンショウウオやトウキョウサンショウウオなどの幼生には、手足の生える前の一時、眼と外鰓の間にバランサー(細い棒状の突起)が見られます。バランスをとるための器官とされていますが、ちっぽけ過ぎて役に立ちそうにありません。
画像

クロサンショウウオ幼生のバランサー070425茨城産。
矢印がバランサーです。ちょっと短いので、先が落ちてしまったのかも。

興味をお持ちの方は、『これからの両棲類学』松井正文編(裳華房)をどうぞ。

継続的に両生類を観察されているK氏なくしてこのエントリーはありません。感謝、感謝。

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トウホクサンショウウオのバランサー
サンショウウオ類には、止水性と流水性があり、止水性の初期幼生にはバランサー(平衡桿)と呼ばれる器官が発達します。 眼とエラ(外鰓)の間にある棒状の突起物です。体をまっすぐに保つ働きがあるといわれていますが、機能は不明です。 ...続きを見る
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