ニホンアカガエル070530茨城

「個体数が多く、よく人目にふれる日本産のアカガエルを代表する種。」
山渓の『日本のカエル』には、こう記されています。しかし、現在このカエルはよく人目にふれるカエルではありません。『日本のカエル』が出版されたのが2002年ですから、この数年でアカガエルを取巻く環境が急速に悪化していることがわかります。

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ニホンアカガエル♀070530茨城。
比較的赤っぽい個体。

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ニホンアカガエル♀070530茨城。
この♀はかなり黒っぽい。体色は個体差がかなりあります。(追記070604:撮影後確認したところ♀でした。)

ニホンアカガエルの染色体数はタゴガエルやヨーロッパアカガエルと同様2n=26、ヤマアカガエルやエゾアカガエルは2n=24。さて、どちらが進化的に後に生じたでしょうか。
染色体の融合(フュージョン)は分裂(フィッション)より起きやすい。なぜなら染色体には動原体(紡錘糸の結合部)が必要で、一つの染色体が分裂したとき、一方には動原体がなくなってしまうからです。
したがって、染色体の減少は増加より普通の現象です。染色体の少ないヤマアカの方が、新しい種(より後に種分化した)と考えられます。ニホンアカの11番と13番染色体がフュージョンした結果、ヤマアカの6番染色体ができたと考えられています。
ちょうど、チンバンジー(2n=48)とヒト(2n=46)の関係と同様です。

ニホンアカとヤマアカの比較は、http://seichoudoku.at.webry.info/200702/article_25.htmlをご覧ください。

継続的に両生類を観察されているK氏なくしてこのエントリーはありません。感謝、感謝。

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この記事へのコメント

  • matsumaru

    染色体の話題にまで言及されていて、とても勉強になります。
    休耕田が数年で荒れ地になって干上がる光景なども見かけるようになり、アカガエルたちの繁殖の場も厳しくなっている気がします。人と生物の関わり方を考えさせられるカエルたちですね。
    2007年06月01日 01:16
  • seichoudoku

    ヒトが環境を改変し始めて1万年。その間多くの生物が人為の介入した土地に適応してゆきました。
    急激に荒廃している里山の雑木林、水田。こうした環境は本来の自然ではありませんが、こうした場所に適応した生き物は今、行き場を失っています。なんとかならないものか。
    2007年06月01日 21:47
  • beachmollusc

    はじめまして、

    ヒトとチンパンジーの話を自分のブログに書き込んでから、こちらのエントリーを発見して、同じ発想をする人がいるので驚いたところです。
    http://beachmollu.exblog.jp/

    休耕田でも、山間部の場合は湧き水が切れないような場所があり、卵塊もよく見かけます。レッドデータ検索システムで見ると、
    http://www.jpnrdb.com/search.php?mode=map&q=03020030044
    http://www.jpnrdb.com/search.php?mode=map&q=03020030037
    両種がリストに掲載されている地域分布が面白いパターンを示しています。

    農業県である宮崎県では農地整備が隅々まで及んでいて、乾田化が進み、しかも超早期米を作りますので、給排水の水路を含めて田んぼの周囲では4月から7月までしか水がありません。そのためにトノサマガエル、ドジョウ、タニシ類、ヘイケボタルなどの多数の里地の動植物がレッドデータに載っています。それでもアカガエル類が残っているのは山間部に主な生息域があるからでしょう。
    2009年02月20日 08:57
  • seichoudoku

    beachmolluscさん、宮崎県からの思いもよらぬコメントありがとうございます。関東ではニホンアカは壊滅的です。以前は普通に見られたのですが今はめったに見られません。ヤマアカも楽観視できない状況です。
    子供の頃ヤマアカやオオルリボシヤンマを捕まえた池が駐車場になってしまったとき、涙が出るくらい悲しかった。
    アカガエルの暮らす里山と谷津田は人が手を加え続けることで維持される特殊な自然です。カエルは2000年かけてその環境に適応してきました。そうした場所が急激に失われているのが現実です。多くのカエル類は環境変化に極めて脆弱です。知らない間に消えていた、ということにならないことを願います。
    2009年02月20日 20:29
  • beachmollusc

    私は日本本土から40年近く離れて浦島太郎状態でしたが、3年前に宮崎に移住して、県内を広く探索しています。里山の変化として気がついたことは、溜池が消えているか、アクセスできない状態にされていることです。

    子供が溜め池の中で死亡していた気の毒なニュースが最近ありましたが、自分がドジョウやザリガニを釣った子供の頃を思い浮かべると、今の子供達はそのような楽しみからますます隔離されてしまうのか、と残念でなりません。

    カエルたちの全世界的な衰退については、私も自分の生物学の講義でトピックとして取り上げました。講義資料が大学のHPから消えてしまっているのでリンクできませんが、多彩な面白いカエルたちの進化と生態、たとえばプエルトリコのコキーなどや沖縄のカエルの話を取り上げました。yujiさんの「おきなわカエル商会」http://www.okinawa-kaeru.net/はとても良いサイトです。
    2009年02月21日 11:22
  • seichoudoku

    宮崎では、ヤマアカは12月に卵産んじゃうんですね(例外的か)。日本て小さいようで広いのを実感しました。この前仕事で沖縄に行ったのですが両生類を探す暇はありませんでした。沖縄のカエルは魅力的なのでいつかゆっくり見てみたいです。
    2009年02月21日 12:46

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