アイスランドカモメか小型シロカモメか、動画による識別の可能性

画像
画像
画像
画像
画像
画像
画像
画像
画像
画像
画像
画像
画像
画像
画像
画像


Glaucous Gull Larus hyperboreus barrovianus first winter 120205 Japan.
現場では、こんなアイスランドもいるんだなあ、というのが第一印象だった。頭部や全体的なジズはそばにいた小型シロカモメよりカナダカモメに近い(画像9の後から、本個体、小型シロカモメ、カナダカモメ、ウミネコ)。特に丸みのある頭部はシロとは異質に感じた(画像8、9)。ただ気になるところも無くはなかった。まず、嘴の形と色。基部がやや太く感じ、上嘴の先の部分の曲線のrが小さい(嘴の形については、小型シロとアイスランドの差は、クロワカモメとただカモメの差に近いのだが、この個体はカモメよりクロワを思わせた)。それからツートーンの境目がはっきりし過ぎていた。初列風切の突出も少し足らないような気がした。

Grantの「識別の新しいアプローチ」(BIRDER1996年12月号)のアイスランドとシロの識別を復習する。眼の前縁から後縁=A、嘴峰の羽毛の生え際から嘴の先まで=Bとする(画像1)。
B/A>4.5 → シロカモメ
B/A≦4.2 → アイスランドカモメ
早い話し、嘴が短く眼が大きいのがアイスランドである。本個体では、B/A=4で、アイスランドを示す。しかし、よほど条件のよい画像でなければ、眼瞼の内側を特定できないので、Aを過大評価する恐れがある。

これでうまくいかない場合には、とGrantは続ける。
目先端から嘴の先端=C、尾を越える翼の突出量=Dとする(画像1)。
C≧D → シロカモメ
C<<D → アイスランドカモメ
翼の突出が明らかに大きいのがアイスランドである。本個体のD/Cは1.2で、突出量はやや大きい程度である(ほぼ同じといってもよいか)。
画像の測定値は微妙でいまひとつはっきりしない。
一方で、シロカモメとともに写った本個体(画像8、9、15、16)はどれも、丸い頭に小さい嘴であり、アイスランドでいいような気がするのも事実だ。そこで動画の登場だ。
数ショット撮ってあった動画を見る。動くので体の構造がいろいろな角で見ることができ、画像で分かりにくい立体の質感が得られる。なんと、何度見てもアイスランドには見えないではないか。誤って小型シロを撮影したのではと確かめたけれど、そんなことはなかった。

どうやらこの個体、小型シロカモメのようである。数値の上では(Olsen2003)、L.h.barrovianusの第1回♀の嘴の最小値は46.2mmで、L.g.glaucoides第1回♂の最大値52.0mmよりかなり小さい。件のカモメは、barrovianusの内でも小さい個体の可能性が高いと思われる。Howell & Dunnの“Gulls of the Americas”(p260)にある、“dwarf” Glaucous Gullとされるものかもしれない。

この興味深いカモメを知らせてくれたHSさんに感謝します(彼とはこの日初めてお会いしたのだけれど、ネットで彼の記事は何度も目にしていたので、前からの知り合いのように感じました。)

画像
L.h.barrovianus first winter 120205 Japan.

画像
L.h.pallidissimus 120205 Japan.
同じ時刻同じ場所にいたシロカモメ2個体。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

  • Ujimichi

    この個体はまだ実物は見てないのですが、先日ちょこっと携帯画像だけ見せてもらった段階では結構アイスランド的に見えました。しかしこうしてPC画像で見ると確かに私もbarrovianusに見えます。

    glaucoidesでも冬季からここまで嘴基部が綺麗な肉色の個体は少ないようなので、それが日本に渡来する確率はさらに低いかも知れませんね。それとアイスランドカモメはもう少し頭の割に首が短かかったり、胴回りが小さく見える傾向もあるように思うので、その辺も全体の印象にかなり影響しているように感じます。
    2012年02月09日 00:17
  • seichoudoku

    コメントありがとうございます。嘴の基部の色がちょっと違うだろう、頭が小さいのではとか、初列がちょっと短いかなとか、そういった論理的な判断というか理性に、無意識のうちにバイアスがかかるんですよね、現場では。願望に引きずられた推論が往々にして誤認を導く。
    でもそうした心の揺らぎがあるから、誤認と隣り合わせの識別は愉しいのだと思います。論理だけで識別が完結するんだたら、識別なんて、自販機に定められたコイン(識別ポイント)を投入すると、かってに缶コーヒー(識別結果)が出てくるようなもんですからね。
    いつも心の揺らぎを楽しめる心の余裕を持っていたいものです。
    2012年02月09日 20:55

この記事へのトラックバック