属を選択するとは分類体系の表明である ヒワの系統(2)

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Eurasian Siskins adult ♂♂130217 Japan.
ヒワの系統(1)で、カワラヒワをマヒワ属Carduelis から分離することは妥当とした。この根拠は分子系統学研究による単系統性だ(たとえばZuccoaら2012)。ミトコンドリアDNAの分子系統学に従えば、キバラカワラヒワ、ベトナムカワラヒワ、ズグロカワラヒワ、カワラヒワ、アオカワラヒワ、ギンバネマシコ、ハシグロナキマシコは共通の祖先を持つ単系統群である。このすべを同属にするのは妥当であり、また、ギンバネマシコとハシグロナキマシコをそれぞれカワラヒワとは別属としても単系統性はそこなわれない。が、ギンバネマシコとハシグロナキマシコを同属にすると側系統となってしまう。これらカワラヒワ類とマヒワを含む他のマヒワ属の共通の祖先が分化したのは830万年前である(Zamoraら)。別属とするに足る分岐の深さと思われる。
カワラヒワ類を除いたマヒワ属Carduelis の単系統性はどうだろう。カワラヒワ類を属とした程度の肌理のふるいにかけてみる。マヒワを含む単系統群にはショウジョウヒワ、ヤッコヒワ、クロヒワ、ズグロヒワ、マツノキヒワが含まれる。さらにオウゴンヒワ、ヒメキンヒワまで含めてもいいし、さらにチベットヒワまで広げても単系統性は維持できる。
ところで、ベニヒワ類とイスカ類は姉妹群である。ハシグロナキマシコをカワラヒワ属に入れるのであれば、ベニヒワとイスカは同属としておかしくない。それほど両者の分岐は浅い。
一方で、ベニヒワとマヒワは系統学的にはかなりの隔たりがある。これらを同属にするにはカワラヒワ類以外のヒワ類を全てマヒワ属にしないといけない。もちろんそうすれば単系統性は維持されるので系統学的に問題はない。しかし、そんなことをすれば、イスカやカナリアまでマヒワ属にグルーピングされてしまう。これでは誰も納得できないだろう。
ここで再度日本鳥類目録改訂第7版を見てみよう。復活したカワラヒワ属にマヒワ属が続く。そしてマヒワ属にはベニヒワとコベニヒワも含まれている。もちろんイスカ属は健在である。これは明らかに系統を無視した分類である。マヒワ属とイスカ属を維持するにはどうすればよいか。それは簡単である。第5版のAcanthis を復活させればよい。
このように分類を扱う者にとって一つの属を採用することは分類体系を表明することなのである。

追記130320: 画像3の右上は、額が黒くなりかけていて胸や背に黄色味があるので♂第1回冬羽と思われる。

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