コウノトリ目の混迷 コウノトリ041228千葉県(改訂130419)

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Orintal Stork 041228 Japan.
1990年のシブリー&モンローのDNA-DNAハイブリダイゼーションによる鳥類の系統には心底驚いた。なんせ、ハヤブサも、コンドルも、タカも、ミフウズラも、シギチドリも、シュモクドリも、ペリカンも、サギも、トキも、ペンギンも、ミズナギドリも、アビも、ネッタイチョウも、サケイも、フラミンゴも、カイツブリもみんなコウノトリ類なのだから。20世紀のオーソドックスな分類、たとえばピーターズらのチェックリスト(1931-1979)では、シュモクドリ、ハシビロコウ、サギ、トキ、コウノトリなどがコウノトリ目に含まれているだけだったのに。
記憶では一般紙上で記事となりそれなりに注目された。しかし比較的保守的な形態重視の鳥類学者たちは飛びつかずに静観を保った。21世紀になってからも形態による分類、たとえばリブジー&ズシらはシュモクドリ、トキ、コウノトリなどだけをコウノトリ目とした。
一方DNAの系統学は精度を高め、ハケット、キンブルらによって、包括的かつ高解像度の分子系統学的研究の成果が『サイエンス』に発表されたのが2008年。それによればコウノトリを含むクレード、名付けるならペリカン・コウノトリ目には、ウ、カツオドリ、グンカンドリ、サギ、トキ、シュモクドリ、ペリカンが含まれる。さらにミズナギドリ、ペンギン、アビを含め水棲鳥類クレードをなす。
ピーターズらのチェックリストのペリカン目はウ、カツオドリ、グンカンドリ、ペリカン、ネッタイチョウを含むが、分子系統では多系統となる。とくにネッタイチョウは系統樹のかけ離れた場所に位置し、統計学的にあまり強くは支持されてはいないがなんとハトやクイナモドキ、サケイとクレードをなす可能性がある。同様にコウノトリ目も多系統となる。分岐学では多系統は無効である。コウノトリ目とペリカン目とはたがいに交錯しをそのまま残すことはできない。
分子系統に懐疑的だった形態学者もさすがにこの結果を無視することはできない。コウノトリ目の混迷にも一応の着地点が見えたようだ。
さて、このあたりを『日本鳥類目録改訂第7版』はどう扱っているだろう。ネッタイチョウはネッタイチョウ目としている。コウノトリ目にはコウノトリ属があるのみ。ウ、カツオドリ、グンカンドリをカツオドリ目としている。これらは新しい分子系統でも単系統で有効である。ペリカン、サギ、トキをペリカン目としているが、これも単系統で有効である。新しい『目録』は、目を増設することで分子系統での単系統性を維持した形になっているようだ。
ただし、キンブルらの系統樹(図2)が細部まで正しいなら(ありえそうにないのだが)、ハト、クイナモドキ、ネッタイチョウ、フラミンゴ、カイツブリが単一クレードをなす。何目とするのか。

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