コセジロタヒバリは種へ151031JBF(追記151129、190608)

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山階鳥研見にレクチャー茂田良光さんの「セジロタヒバリとコセジロタヒバリの識別」に参加した。
要旨
セジロに比べコセジロは、
測定値はオーバーラップあるが見た目が小さい、
上面の縦斑が濃く太いので全体的に黒っぽく見える、
背の白が細くあまり目立たない、
嘴は短く、下嘴先下側が黒い、
のどが白っぽい、
囀り(飛びながら)がより複雑、
地鳴きはやや細く金属的、
等の特徴を持ち、フィールドで識別できる。
PPはセジロ同様大きい。
外側尾羽の白斑は湿地に生息するせいか褐色に汚れているので目立たない。

形態で100%識別できる亜種は種とすべきである。
mtDNA分子系統では2.8%の差があり、2%ルールより種とするのが妥当。
セジロとの分岐はかなり深い(古い)。
保全の面からも種とするメリットあり。

結論
コセジロタヒバリはセジロタヒバリの亜種とされてきたが種へ格上げすべきである。

これまでコセジロの日本での観察記録はない。これは識別ポイントが知られていなかったためと思われる。
標本は2個体あり。1927年2月15日石垣島(森林総研)、1995年9月24日沖縄(鳥博、セジロとして展示されていた)。このことからも以前から日本を通過していたことがわかる。今後コセジロの観察機会が期待される。

追記151129: Brazil (2009) Birds of East Asia では、亜種コセジロタヒバリAnthus gustavi menzbieri は種Menzbier's Pipit A.menzbieri とされることもあるとし、その特徴を上面はより暗色で、下面はバフ色味が強く、翼は短いとしている。図もあるが基亜種との違いが書き分けられているようには見えない。gustaviとされている方が小さく、下面のバフ色が濃いように見える。menzbieriとされている図の上面の褐色は確かに濃く見えるので亜種名を逆に付けてしまった訳でもなさそう。

2015年夏の日本鳥類標識協会大会で茂田さんと小倉豪氏のコセジロに関する報告があった。要旨から識別に関する部分を引用する。
両種とも上面・下面・尾などの斑や羽色には個体変異があり,識別は容易ではない。コセジロタヒバリはセジロタヒバリと比較し,
各部位のサイズが小さく,
上面により緑灰色味があり,
頭上や背と腰の黒い縦斑,胸と腹,脇の黒い縦斑の幅がやや太く明瞭である。
また,コセジロタヒバリは,下面のバフ黄色や下尾筒のバフ色がセジロタヒバリより濃い傾向がある。


追記190608: Brazil(2018)Birds of JapanのPechora Pipitの3つの絵は前著Birds of East Asiaの転載であるが、なんと、真ん中のad menzbieriがad sumに書き換えられている。menzbieriには見えなかったのでやっぱりなという感じはある。だったら潔く中央(もしくは左)の絵を削除したほうが良い。左図が冬羽もしくは第1回冬で中央が夏羽であるなら意味はあるが、ほとんど差のない2図は混乱の元であり不要。

ヴォロビョフ著(1954/1978高橋清約)『ウスリーの鳥』に興味深い記述があるので引用する。90年以上前に、コセジロを亜種でなく種と見た人がいた。見る人が見れば十分違いがわかるということだ。
1927年、シュルピンは、レーフ河口で夏季採集した標本にもとづいて、このセジロタヒバリは新しい亜種コセジロタヒバリ(Anthus gustavi menzbieri)であるとした。この新亜種は、体の上面が黒色であることと、形が小さいことで、標準型とよく区別される。翼長は72~76mmである。しかし、シュルピンが、
<この鳥の中間的な型が存在しない場合には、このセジロタヒバリの亜種は、おそらく1つの種として認めてもよいほど、ひじょうに明瞭な差がある>
と断言しているのは、容認しがたい。著者の見るところでは、この差異はあまりに誇張されているようである。ここに記載されている型は、かなり明瞭に区別される亜種である。

現在のバードウォッチャーの目からすれば、両(亜)種の差は識別可能な範囲と思われる。図鑑に絵を載せるならこの差が描けていなければ意味がない。Birds of Japanの改定でそれを見たいものである。

zeno-cantoでコセジロタヒバリの囀りを聴くことができる。ウスリーではセジロタヒバリも旅鳥として通過するが、繁殖期に録音されているのでコセジロでよいと思われる。

『ウスリーの鳥』には、
ウスリー地方へ渡来するものには、やはり標準型もみかけられる。それらは明らかにAnthus gustavi menzbieriより大型である。翼長は78~85mmある。
と書かれており、2標本の採集日はいすれも9月である。著者は巻末の分布習性一覧表で、コセジロを夏鳥、セジロを旅鳥としている。

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