アオシギ、分布と亜種161120茨城県

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Solitary Snipe Gallinago solitaria japonica 161120 Japan.
分布
SHOREBIRDSの分布図(P.Hayman et al. 1986)を見ると、近縁種にない特徴があることに気付く。
① 多くの場所で留鳥である。アフリカや南米ではあるものの、ユーラシアのタシギ属では他に例がない。
② 産地が複数に分断されている。これは森林限界付近かそれ以上の高地の渓流に棲むためである。
③ 留鳥の分布域の北側に接して越冬地がある。モンゴル西部のアルタイ山脈、東西サヤン山脈、ハンガイ山脈の辺りは留鳥で、その北側、バイカル湖の西側に越冬地が隣接している。寒い冬に北へ移動するのは不自然に感じるが、標高と気温を考慮すると理解できる。冬季凍結する源流に棲む個体は移動を強いられるわけだが、北側のシベリア低地へ向けて山を降りれば凍結しない河川があるのなら、南のゴビ砂漠を越えて渡る必要がないからである。

10年後に出版されたHBW(1996)の分布図もほぼ同じである。違いは次の二か所。
① オホーツク海沿岸、マガダン周辺にスポットが追加された。ここでは夏鳥で、Haymanには夏鳥のスポットは一か所もない。
② アルダン丘陵付近のスポットが消えている。これは作成ミスと思われる。

HBWはネット上で改訂されており、HBWaliveの分布図を見るとかなり変更されている。各地での観察例により現在進行形で書き換えられている。
① カムチャツカ半島、サハリンでは、留鳥が夏鳥に変更された。
② 東日本に限られていた日本での分布が西日本へ広げられた。
③ 分断されていた地域がつなげられ、より分布域が広げられた。
④ バイカル湖周辺の越冬地が削除された。

ついでにzeno-canto(ベルカントのもじり?)を見てみる。北東部はaliveとほぼ同じ。しかし南西部はかなり違う。zenoの方が複雑な形をしているのだが、地形図に照らし合わせると、北からSj字状に、テンシャン山脈→パミール高原→クンルン山脈→バインハル山脈→チベット高原と、この鳥の好む地形(HBWによれば1500-5000m)に適う。一方、のっぺりとした形で、ゴビ砂漠のあたりを分布に入れているHWBのほうが怪しい気がする。
分布図は時代とともに変化する。それは実際の鳥の分布の盛衰を直接反映しているわけではなく、観察例と引用文献による人為的な曖昧さの影響が少なくないと思われる。zeno-cantoの日本の分布は、北海道と本州までで、四国九州は含まれていない。日本鳥類目録では、四国九州は冬鳥(WV)。
繁殖地は人里離れた高地であり、越冬地でも目立たない鳥なので、分布には不明なところが多そうだ。

亜種
SHOREBIRDSによれば、Gallinago solitaria solitariaG.s.japonica2亜種が記載されているが、有効性は疑わしい。分布域のほとんどは基亜種(亜種ニシアオシギ)とされる。越冬地が日本の亜種アオシギG.s.japonicaの繁殖地は不明と記されている。形態はほぼ基亜種と同じだが、基亜種に比べて、赤味がやや強い、上面の白が少ない、翼長が少し短く、嘴と足はやや長い。フィールドで識別可能かは不明。

HBWは、やはり2亜種の有効性を疑問視する一方で、亜種アオシギの繁殖地をサハリン、中国北東部、そしておそらく、スタノボイ山脈~コリマ丘陵、カムチャツカ、シホテアリニ山脈の高地とし、アムールランド、サハリン、カムチャツカ、韓国、中国東部、日本(の低山)で越冬する、と記す。ほとんどの分布域は基亜種としたSHOREBIRDSに比べると、分布域を随分広くとっている。
清棲大図鑑では、亜種アオシギの分布を西はハンガイ山脈から東はカムチャツカまでとしていて、HBWよりさらに広範囲に及んでいるのだが、形態学的な根拠は不明。基亜種の分布は、トルキスタン、テンシャン山脈、アルタイ山脈、ヒマラヤ山脈、中国カンスー、スーチョワン、ユンナン等としている。

繁殖地が離散的であり、遺伝的な分化が進んでいる可能性がある。複数の亜種、あるいは種が、今後見出される可能性は低くないと思われる。

系統
タシギ属の系統を尾羽の枚数のみで構成すれば、タシギ(14)→ウィルソンタシギ(16)→オオジシギ(18)→アオシギ(20)=チュウジシギ(20)→ハリオシギ(26)の順に分岐したことになる。アオシギとチュウジシギは姉妹種!?見た目ではありそうにないが、分子系統の結果はいかに。

画像1:身を伏せてフリーズしている。他のジシギに比べて、極めて警戒心が強く、私が発見する時にはすでに身構えている。しばらくじっとしていてもなかなか警戒を解かず、一瞬目を逸らした隙に、行方不明になっている。探せば数m先の石の間に隠れている(画像2)。まるで瞬間移動でもしたかのようだ。
画像1では一見嘴が短く見えるが、小石の先に嘴が出ているのを見ればなるほど長いと実感できると思う。

清棲は、飛び立ってからある距離ジグザグを描いたのちに空高く舞い上がるのが常である、としているのだが、これまで三度飛び立ちを見た限りジグザグ飛ぶことはなかった。岩間から上に飛び立ち直線的にかなりの速度で沢沿いに進み、しばらくして上昇する。一度私の頭上をかすめて羽音がしたが、かなりの迫力だった。

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