

♀オビトンボ型は北日本と南西諸島に多い。この分布は中央で生じた変異が、波紋のごとく周辺へ広がる様を思わせる。都の流行り言葉が後年都で忘れ去られ周辺地の方言として残ることに似ているようにも感じる。このような事態がオビハシトンボで起こっているなら、北日本と南西諸島で遺伝的な距離が近くなることが想像されるが実際はそのようなことは見られないようで、本土と南西諸島に遺伝的差異があるらし(尾園ら『日本のトンボ』)。広がった波紋以外の仕組みで共通の形質が離れた地点で進化し得るとすればそれはそれでとても興味深い。
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