
アカトンボ類の雄が赤くなることには、雄同士の縄張り争いや雌の獲得に適応的な意味がある。雌はより赤い雄を選好する。イトトンボ類には雌の体色に多型があるが、雄型雌の雄への擬態は、交尾後の再交尾を抑える働きがあると思われる。雌にとって交尾は一般的に物理的なリスク(生殖器の破壊と短命化)がともなうので雄に化ければさらに交尾を迫られる機会が減るだろう(複数回の交尾は精子競争による雌の利得もあるか)。
アジアイトトンボ雌の体色変化はあたかもアカトンボの雄のそれを反転している。赤味の消失は雄への擬態で説明がつくかもしれない。が、まだ交尾できませんと宣言するためにわざわざ新たな色素を合成するほどのメリットがあるのか。雄が未成熟雌を選択しないメリットはあるだろうがそれだけでは到底説明できないだろう。未成熟を赤で顕示する適応的な意味はいかなるものか。
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