ハシブトアジサシ夏羽(動画)、メジロガモとの関係190729千葉県(191207改訂)

Common Gull-billed Tern Gelochelidon nilotica molting adult/ or 1st summer 190729 Japan. 初列風切P1は新羽。三列風切や雨覆の摩耗が激しく羽軸がとげのように見える。褐色味を帯びているように見えもする。幼羽なら第1回夏羽ということになる。 ハシブトアジサシGull-billed Ternはこれまで6亜種が認…

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エピオルニスはモアよりキーウィに近かった

Aepyornis sp.(Egg) 180802 Ibaraki Nature Museum. エピオルニスはマダガスカルの飛べない鳥、モアとキーウィはニュージーランドの飛べない鳥。地理学的には、より近縁なのはモアとキーウィ。頸と足が長く大型化したという形態で見れば、近縁なのはエピオルニスとモア。実際はしかし、ともに違った。米澤隆弘(復旦大学/中国)ら(2016)のミトコンドリアDNAと核…

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ウミガラスの卵が円錐形である理由は

ウミガラスの卵が円錐形である理由は、鋭端を中心にコマのように回転することで、産み落とされた岩棚からの落下を免れるからである、と一般的に信じられてきた。 卵の回転半径は(産みたてだと)17cm、それに対して岩棚は15㎝程度である。ウミガラスを専門にするイギリスの鳥類学者ティム・バークヘッドにいわせると、ウミガラスの卵の形状はまったく転落防止の役に立っていない。それに対する彼の仮説は極めてユニーク…

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ニシチュウジシギとハリオシギの生殖的隔離の強化

ニシチュウジシギとハリオシギはそっくりなのに(画像中央下)、チュウジシギとハリオシギはそうでもない。これは生物学的に極めて興味深い。 今ではセグロカモメに近縁とされるようになったモンゴルセグロカモメは、同じ中緯度に分布するカスピセグロカモメに近い形質を持つことで、以前は(あるいは今でも)カスピの亜種とされてきた。これは系統が離れていても同様の環境のもとでは似た形質が進化する収斂と呼ばれる現象だ…

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ジシギの雌は雄の尾羽を数える?(改訂180630)

チュウジシギの尾羽数は9%(7/82)が奇数である(小田谷(2015))。この事実は熟考に値する。 ヒト(やアカゲザル)では、シンメトリーな顔が異性に好まれる(例えばAnthony C Littleら(2007)、Anthony C. Littleら(2008))。ショウジョウバエの雄の前脚ふ節にある性櫛のシンメトリーは性選択による(例えばPolak Mら(2004))。優良遺伝子(good …

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「関東ジシギ懇話会 ―ジシギ観察は面白いー」報告(追記180630)

6/24(日)、14:00〜17:00(予定を30分オーヴァーしてしまった)、龍ケ崎市で関東ジシギ懇話会が開催され、43名が参加した。以下は私の発表スライド35枚のうちの28枚である。 私はこの場で、地鴫生物学班のマニフェストを掲げた(つもり)。地鴫生物学斑とは、岸さんが立ち上げた(?)関東ジシギ懇話会の下部組織である。本当は地鴫生物学会と命名したいところだが、懇談会の下に学…

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アサヒナカワトンボ♂無色翅型180503山梨県

Mnais pruinosa 180503 Japan. 頭部に対して胸部が相対的にやや小さく見える、翅縁紋が先端寄りにあり細長く見えない、等アサヒナの特徴を持つ。腹部第1節の棘は翅が重なりよく見えない。伊豆個体群も見られる地域なのでその可能性もある。 山梨県は、ニホンカワトンボとアサヒナの分布の境界線上にある。交雑による種分化が現在進行形で検証できる場所だ。 →神奈川県を中心としたカワ…

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メジロガモの種分化・大形カモメの種分化(追記180408)

Ferruginous Duck breeding ♂ 180228 Japan.  メジロガモAythya nytoc の近縁種といえば、同様に目の白い同属スズガモ属のアカハジロA.baeri である。ユーラシア大陸に広く分布していたであろう両種の共通の祖先は、氷期に大陸の東西に分断、隔離された。西側レフュージアでメジロガモが、東側レフュージアでアカハジロが分化する。間氷期の温暖化に伴い分布…

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ヒガンバナ(とダチョウ)

Lycoris radiata 170909 Japan. 赤、ピンク、黄、白、運河のヒガンバナが満開になった。 ヒガンバナ科の分布と走鳥類の分布は共通する。ゴンドワナ大陸に起源し、その後の分散とプレートテクトニクスによる分断により、現在の分布が説明可能である。

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ジシギの種分化を想像する、特にチュウジシギに焦点を当てて (Ⅲ)(改訂170903)

承前 これまでのジシギ類の尾羽の考察についておさらいする。 ジシギ類は種分化の過程で尾羽の枚数を段階的に増やした。 雄の尾羽の枚数(と形態)はディスプレイの尾音を決める(影響を与える)。 雌は尾音を聞き分け雄を選ぶ。 雄の尾羽の枚数(と形態)は雌の選好性が決める。 雄の尾羽の枚数に変異が生じても雌は適切な枚数の雄をチョイスする(安定化選択)。 雑種の雄は両種の雌に好まれず適応度は低…

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ヤナギムシクイは輪状種ではない!?(Ⅱ)

承前 輪状種とは何か チワワからグレート・デーンまで、イヌの品種を大きさの順に隣の犬種とのみ交配できるように1列につなぐ。チワワからグレート・デーンまで途切れることなく両隣同士の犬種は交配可能である。だからこそイヌは1種とされる。それを大きな池の周囲に、列の両端、即ちチワワとグレート・デーンが接するように整列させてイヌの輪を作る。イヌの輪は交配を通じて遺伝子が交換される。ただ1か所、遺伝子の…

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ヤナギムシクイは輪状種ではない!?(Ⅰ)

ヤナギムシクイは輪状種の有名な例の一つとされてきた。輪状種とは、生育できない地域の周囲を取り囲むように分布域を拡大した生物種がその両端で接触した時交雑不能となった状態である。種分化には通常地理的隔離が必要とされる。輪状種は、地理的隔離がなくても種分化が起こりうることを示している。 Irwinらによる輪状種としてのヤナギムシクイの研究を振り返り、ヤナギムシクイの種分化と分類について考察した。 …

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始祖鳥ロンドン標本/タイプ標本170526大英自然誌博物館展

The London Specimen of Archaeopteryx 170526 National Museum of Nature and Science, Tokyo. 画像1: 始祖鳥ロンドン標本本体(ポジ)。 画像2: 同ネガ。本体の左側に展示されていた。 画像3: ポジの体部。 画像4: ポジの体部のレプリカ(170604我孫子鳥の博物館)。 画像5: ネガの体部の左右…

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ジシギの種分化を想像する、特にチュウジシギに焦点を当てて (Ⅱ)

承前 2015年度日本鳥類標識協会札幌大会で注目すべき発表があった。小田谷嘉弥さんの「尾羽が18枚の“小さいオオジシギ”とは何者か?」だ。この報告には面白いポイントがいくつもあるのだがここでまず取り上げたいのが関東のチュウジの尾羽の枚数の度数分布である。20枚が多数派で52個体。これはよしとして、意外なのは18枚が23個体もいたことである。 貼り付け元 チュウジシギの尾羽の枚…

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ミソザサイ160502栃木県

Winter Wren adult fumigatus 160502 Japan. ミソサザイはユーラシアに広く分布するが、キバシリやゴジュウカラに比べると分布域は分断されていて種分化は進んでいる。世界で40以上の亜種が記載されていて、日本では、チョウセンミソサザイ、ミソサザイ、モスケミソザサイ、オガワミソサザイの4亜種が認められている(目録第7版)。分子系統では、東アジア、ネパール、ヨーロッ…

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ジシギの種分化を想像する、特にチュウジシギに焦点を当てて (Ⅰ)

尾の枚数(メジャーの枚数)でジシギ類の分化をオッカムの剃刀にしたがい推測すると、すべての共通の祖先からまず初めにタシギ(14枚)が分岐し、ウィルソンタシギ(16)、オオジシギ(18)、チュウジシギ・アオシギ(20)、ハリオシギ(26)と徐々に枚数を増やしながら分化が進んだと思われる。可能性としては多(大)→少(小)の進化もありうる。ゲノムサイズは両生類より哺乳類の方が小さいし、染色体数はチンパン…

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カモは雄が先に換羽する!ヨシガモ♂生殖羽・♀非生殖羽151230千葉県

Falcated Duck nonbreeding ♀ 151230 Japan. ウジカモ図鑑によれば、三列風切に橙褐色斑が無いので生殖羽ではなく、 また三列基部が黒褐色ではないので幼羽でもない。三列基部が淡色なで♀非生殖羽である(幼羽特有の胸の小斑もない)。 これまで雄が生殖羽の時期の♀が生殖羽なのか非生殖羽なのかなど考えたことも無かった。ウジカモが正しいのならこの東アジアのカモに限らす…

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ハリオシギ幼羽150913千葉県(改訂160102/二訂160103/三訂160201)

Pin-tailed Snipe juvenile 150913 Japan. 日時天候: 発見したのは2015年9月13日17時15分。この日の日の入りは17時51分で辺りは薄暗くなり始めていたが、発見直後に西の空の雲間から西日が二番穂の間隙に差込んだ。この日の天候は午前中は日が出ていたが、次第に雲が空を蔽い、午後の日照時間は夕方の3分であった。 東海地方に上陸した台風18号の影響で千葉県…

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タゴガエル種群 150829山梨県

Tago's Brown Frog Rana tagoi tagoi 150829 Japan. 雨上がりの朝、水量のかなり少ない沢から50m程度はなれた赤土がむき出しになった斜面で見つけた。全長は4cm程度。 Etoら(2012)の、ミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子、NADHデヒドロゲナーゼ・サブユニット1による系統解析によれば、別種であるタゴガエルとナガレタゴガエルは相互…

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サンカノゴイ♀(動画)、擬態か両眼視か150702千葉県(150705改訂)

Eurasian Bittern ♀ 150702 Japan. ①擬態する。②嘴を上に向け頸を伸ばす。③両眼視する。進化的にはどれが先か考えると面白い。 例1:嘴を上に向ける頻度の高い個体が結果的に擬態の効果により選択される。→次に両眼視に選択圧がかかり目の位置が移動した。これがわかりやすいシナリオだろう。嘴を上げるのは擬態によって環境に溶け込むためである。しかしまったく別のストーリーも…

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東西2つのチュウジシギ(追加141227)

Swinhoe's Snipe juvenile 110821J Japan. 2011年8月21日に観察した特徴的なチュウジシギ個体Jが2014年12月2月にツイッターで取り上げられたので画像を見直した。当時のエントリーに「赤っぽいタイプ」とあるように、現場では同一場所にいた個体Iに対して赤っぽいと感じたわけだが、改めてみるとあまり赤っぽくない。赤いというより、肩羽の黒に対する褐色部が目立つ…

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ツツドリ幼羽~第1回冬羽・褐色型141001千葉県

Oriental Cuckoo molting juvenile 141001 Japan. この時期公園に腰を据えてサクラの林を見上げているとツツドリが出ては入ってくる。図鑑(たとえば650図鑑、550図鑑)ではツツドリには普通型と赤色型(♀のみ)があるとされるが、幼鳥には普通型(というより暗色型とか黒色型と呼ぶほうがしっくりする)、赤色型、そしてこの個体のような褐色型とでもいうべき赤みは強…

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キジ♂の尾と♀のチョイス140822千葉県

Japanese Green Phesants 140822 Japan. 今日はキジの日。4.7kmのコースで、単独♂2羽、単独♀1羽、♀♂4ペア(8羽)、♀+幼鳥3羽2家族(8羽)、計19羽。イネの中に少なからぬ幼鳥が潜んでいると思われるのでこの倍はいると思われる。ペアが多いのに注目。2回目の繁殖か。でもこの時期の♂はみな尾が脱落していてみすぼらしい。尾は性選択によって長くなったはず。2度…

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アカシジミ140525千葉県

Orange Hairstreak Japonica lutea 140525 Japan. 尾状突起が両側ない。鳥に襲われたのだろうか、嘴の形に失われている。後翅を鳥の攻撃の標的とするような形態的な適応があると思われる。

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ペンギンの上腕動脈網と進化

最古のペンギンWaimanu(ワイマヌ/マオリ語の「水鳥」の意)の化石が発見されたのは、6200万年前から5800万年前のニュージーランドの地層からだ。現在のニュージーランドは、超大陸ゴンドワナから分離した大陸ジーランディアが後に海に沈み残された一部である。 4900万年前の南極大陸にいたペンギンDelphinornis デルフィノルニスのフリッパーの化石には、最古のワイマヌに見られない溝が見…

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コカワラヒワ-オオカワラヒワ・クライン

2013年11月3日、山階鳥研「見に」レクチャーでの齋藤武馬さんの『身近な鳥カワラヒワの地域変異を調べてみよう』によれば、亜種(コ)カワラヒワChloris sinica minor と亜種オオカワラヒワC.s.kawarahiba は遺伝的分化が進んでいない。両者は亜種ではなくむしろクラインでつながっているようだ。フィールドでは、典型的な両亜種は一見して差は明らかなので、亜種というより別の種で…

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サケマス・イワナ  小川貴光の美術はくせい(追記130923/140207)

ヤマメ♂婚姻色43cm梓川水系。堰堤のある川で大型化した本流ヤマメか。 サクラマス(画像左右反転)46cm梓川。本流ヤマメといったほうがよいと思われる。 アマゴ40cm天竜川水系。擬似銀化した本流アマゴか。 ブラウントラウト♂46cm犀川。 イワナ梓川水系。最後は40cm。 追記130923: 以前は脂鰭がある、鰭に棘条がない等の特徴が共通であるアユ(アユ科)、ワ…

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タマシギ♂と幼鳥、ディスプレイとコール(動画)130822千葉県

Greater Painted Snipes ♂ & juvenile 130822 Japan. ♀のほうが美しい、派手といわれるが、ジシギと比べれば♂は十分美しく派手だ。♀が行うとされる翼を上げるディスプレイと同様な行動もするし、♀のソングに似た声で鳴きもする。こうして見るとタマシギの性的二型は行動面を含めて分化が進んでいないように感じる。分化が進化的に浅く途上か。であれば未来性差はより顕…

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左巻きはいかに進化するか?ヒダリマキマイマイ130512千葉県(追加130605)

Sought-after False Hadra 130512 Japan. カタツムリは右巻きが多数派だ。カタツムリは雌雄同体だが繁殖には交尾が必要である。交尾は巻き型が異なると支障をきたす。右巻きばかりの個体群に左巻きの変異個体が生じても交尾できる配偶者が見つからず子孫を残すことはできない。右巻き遺伝子が多数派の遺伝子プールでは左巻き遺伝子は常に有害である。自然選択説に従えば自然選択に不利…

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セグロカモメ種群は輪状種ではない(追記130513)

概念としての種  さて、種というのがまこと不可解ななものだというのは、輪状種の存在によって明白になります。イギリスからスカンジナビア半島にかけてのヨーロッパ北西部に生息するセグロカモメLarus arugentatus は、大西洋を隔てた北アメリカに生息するセグロカモメと形態的に多少は違っているのですが、その違いが大きなものではなく、かつ変化が連続的であるので、明らかに同種(の別亜種)であり、…

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