オーデュボンは窮屈である

Golden Eagle170527 National Museum of Nature and Science, Tokyo. ジョン・ジェームズ・オーデュボンの描く鳥たちは、「極めて写実的」であり、「躍動的」であるとされる(ウィキペディア)。彼以前の博物画と比較して相対的にならまだしも、何の前提もなしにそうはいえない。実際のままをうつすことを写実とするなら彼の鳥は写実とはいいがたいし、…

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絶滅種オオウミガラス170527大英自然史博物館展

Great Auk Pinguinus impennis (model)170527 National Museum of Nature and Science, Tokyo. フランスの博物学者ジョルジュ=ルイ・ルクレール・コント・ド・ビュフォン(1707~1788)は、形態の類似性から南北のペンギンを一つの図版に並べた(荒俣宏著『世界大博物図鑑4鳥類』p26)。ビュフォンは両者は近縁ではな…

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ニホンアシカ170527大英自然史博物館展

Japanese Sea Lion 170527 National Museum of Nature and Science, Tokyo. イギリスの探検家ヘンリー・ジェームズ・スノーが千島で捕ったアシカは横浜の貿易商アラン・オーストンによって大英自然史博物館へ送られた。1974年以来記録がなく絶滅したとされる。この大英博物館のものを含め世界に十数個体しか標本はない。

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羽毛の美

小学校に禽舎があった。インコやキジが飼われていた。小学1年生の私は休み時間になると小屋の前でしゃがみ込む。中にはきらりと輝く羽毛が落ちている。金網と地面の隙間から木の枝を差し込む。そして手繰り寄せる。角度によって光沢を変化させる羽毛に心ときめかせた。 羽毛の美に魅せられるのは鳥好きに限らない。カーク・ウォレス・ジョンソン著『大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件』を読むと、毛針愛好家の羽毛への執着は…

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オーデュボンの「タヒバリ」♂♀

鳥博の階段にオーデュボンの「タヒバリ」が展示されている。タイトルはBrown Titlark Anthus spinolettaとある。Brown Titlarkとは聞きなれぬ鳥名だ。Titlarkはヒバリのような鳥を指す17世紀の語。タヒバリがタヒバリ、イソタヒバリ、ニシタヒバリ(サメイロタヒバリ)にスプリットされる前はみんなAnthus spinolettaだった。オーデュボンは19世紀にア…

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モーリシャスドードー180802茨城県自然博物館

Raphus cucullatus 180802 IBARAKI NATURE MUSEUM. 一般的にドードーとはこのモーリシャスドードー。他にロドリゲス、レユニオがある。 『タイタンの妖女』(カート・ヴォネガット・ジュニア著)によれば、警備厳重な塀に囲まれたラムファードの館には「まるで煙突そっくりの部屋」があり、<スキップの博物館>と名付けられたその小部屋に「ドド鳥」の剥…

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デイノニクス・ティラノサウルス180802茨城県自然博物館

スズメを想起させるデイノニクスの復元模型。ニッチもハビタットも全く異なるのに収斂が起きたかのような誤解を招く展示は問題あり。興味を引くための工夫としては安易すぎる。 ティラノサウルスの展示は充実しているが、endocastを脳函と表記するのはお客さんへの配慮が感じられない。

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下村兼史写真展180926東京都

コダックのグラフレックスのファインダーを覗く。左右反転して見える。 ファインダーを覗きながら本体右下の調節ねじで焦点を合わす。意外とトルク必要。 そして左側のシャッターレバーを下す。するとガッシャンと鏡がハネ上がる。こうやって1枚1枚、下村兼史は鳥を撮った。下村は体が弱かったため写真を勧められたそうだが、5kもあるこんな重たい機材を使いまわすのは体力無いとできないな。 解説いた…

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東京国立博物館(東洋館)の鳥

①少女像(前2025-前1794年頃)上エジプト。ナディア⁉が鴨を提げている。 ②イニ像浮彫(前2254-前2194)エジプト。 ③鴇像(前664年ー前332年)エジプト。 ④多彩釉画像タイル(前8-前7世紀)イラン。 ⑤白釉刻線彩釉女面鳥身文鉢(12世紀)イラン。 ⑥浮彫断片ヤクシニー(2-3世紀)パキスタン。 ⑦鳥頭形石器(前2千年紀)中国。 …

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エピオルニスはモアよりキーウィに近かった

Aepyornis sp.(Egg) 180802 Ibaraki Nature Museum. エピオルニスはマダガスカルの飛べない鳥、モアとキーウィはニュージーランドの飛べない鳥。地理学的には、より近縁なのはモアとキーウィ。頸と足が長く大型化したという形態で見れば、近縁なのはエピオルニスとモア。実際はしかし、ともに違った。米澤隆弘(復旦大学/中国)ら(2016)のミトコンドリアDNAと核…

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東京国立博物館本館(日本館)の鳥

瑞花双鳳八花鏡(8世紀)奈良興福寺。堂塔の建立の前に、土地の神々を鎮めるために埋められた鎮壇具の一つ。 瑞花双鸞八花鏡(8世紀)。大分県津波戸(つわど)山頂で出土。 瑞花双鳳八稜鏡(11-12世紀)。 酢漿草鶴亀柄鏡(16世紀)。 秀峰(16世紀)山水図屏風I。 久隅守景(17世紀)山水図。 有田(17世紀)色絵柏樹双鳥図大皿。コウライウグイスは、腹は白くない…

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キタタキ♀・クマゲラ♀180726国立科学博物館

White-ellied/ Black Woodpecker 180726 National Museum of Nature and Science, Tokyo. キタタキは15亜種認められており、対馬にかつていた亜種Dryocopus javensis rechardsiは朝鮮半島産と同亜種。クマゲラはキタタキより広範囲に分布するが認められている亜種はわずか2つ。キタタキの分布は海に分断…

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モア(の祖先)は南米からニュージーランドへ飛んだ

Moa feathers 170527 National Museum of Nature and Science. Matthew J. Phillips et al (2010)のmtDNA分子系統学的分析によれば、モアは不思議なことにシギダチョウと姉妹関係にあり、同じくニュージーランドに暮らすキーウィは別のクレードに入る。 私は以前、「鳥は二度飛んだ! シギダチョウの進化」で、シギダチ…

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オーウェンのモア170527大英自然史博物館展

Replica of the first fragment of moa bone 170527 National Museum of Nature and Science, Tokyo. 大英博物館のオーウェンはこの一片の骨で鳥と推定した。モアの記載では、ウィリアム・コレンゾーと争ったが、オーウェンの1838年の記載論文にプライオリティーが与えられることになる。 サー・リチャード・オーウ…

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北斎の鳥

葛飾北斎(1843)「雪中鷲図」。特別展葛飾北斎とその時代。 後頸の褐色が薄いのでイヌワシだろう。翼の各羽の並びや尾の形状は写実とはいえない。古木を掴む趾は第4趾がミサゴのように後方に向いている。南蘋派の点苔が足を伝わって喉まで増殖したよう。 葛飾北斎「都鳥図」。 ニワトリのよう。 葛飾北斎「糸瓜に雀図」。 スズメは飛びながら振り返ったりしない。 抱亭五清(1818-18…

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国立西洋美術館の鳥(Ⅱ)

ファン・ヴァン・デル・アメン(c1620)「果物籠と猟鳥のある静物画」Still Life with Basket of Fruits and Game Fowl by Juan van der Hamen y León. シロハラサケイとアカアシイワシャコ。スペインを感じさせる。 ニコラ・ド・ラルジリエール(c.1714)「幼い貴族の肖像」Portrait of a yo…

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始祖鳥ロンドン標本/タイプ標本170526大英自然誌博物館展

The London Specimen of Archaeopteryx 170526 National Museum of Nature and Science, Tokyo. 画像1: 始祖鳥ロンドン標本本体(ポジ)。 画像2: 同ネガ。本体の左側に展示されていた。 画像3: ポジの体部。 画像4: ポジの体部のレプリカ(170604我孫子鳥の博物館)。 画像5: ネガの体部の左右…

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トリ人間161224ラスコー展

井戸の場面のトリ人間。腸が出ているバイソンに突き倒される鳥の頭をした男(性器で性別がわかる)。槍と鳥形の投槍器(マスターキートンに出てきたような)が足元に落ちている。 身廊の黒い牝ウシ。線刻→彩色→線刻の順で壁面に描かれている。後ろ足の方形は何らかの記号か。家族はパレットではないかという。可能性無きにしも非ずか。 3万年前のクロマニョン1号(男性)。クロマニョン人の名のもとになった化…

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レオナルドのミミズク

レオナルド・ダ・ヴィンチの『鳥の飛翔に関する手稿』を見てきた。対象の鳥の細部を正確に描写するというより、鳥の動きを活写する。躍動感はあるが、細部たとえば初列風切の枚数の誤りには頓着しない。彼の興味は鳥という生物自体の自然史にはなく、あくまで人が飛ぶための力学と工学にあるようだ。だからといって、鳥を単なる飛行のモデルとしてのみ捉えていた訳ではないようで、ジャン・クロード・マニゴーが、鳥商から買い取…

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