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zoom RSS アイスランドカモメ(Kumlien's Gull)とは(改訂160207)

<<   作成日時 : 2009/02/21 18:54   >>

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Iceland gullはGreenland Gullともいわれることがあるが、越冬地であるアイスランドより繁殖地のグリーンランドをその名に冠するほうがしっくりする。ホロタイプがアイスランドで記載されたためその名で呼ばれるようになったのかもしれない。ちなみに両島の間に、動物地理区の新北区と旧北区との境界がウォーレスによって引かれているはずだ。現在の学名はLarus glaucoidesだが、かつてL.leucopterusとされていた。ヨーロッパ産セグロカモメと同種とされたこともある。
亜種について、L.g.glaucoidesL.g.kumlieni(Kumlien's Gull)の2亜種を認めるのが一般的である。カナダカモメをアイスランドカモメの1亜種とすることもあれば、kumlieniを独立種とすることもある。東のカナダカモメからkumlieni、西のアイスランドカモメまで、羽衣、形態に明白なクライン(グラデーション)がある。
基亜種glaucoidesは1860年頃までカナダ北部からグリーンランドまで分布していたのだが、1900年以降カナダカモメに圧されるかのように分布はグリーンランドに限定されるようになる。一方カナダカモメは1860年までカナダ北西部で見られたが、1900年以降は分布をグリーンランド北西部に広げた。kumlieniは1840年代グリーンランド西部で見られ、1900年までにはカナダ北東部でも見られるようになった。
このような状況をWeirらは、kumlieniはカナダカモメとアイスランドカモメの浸透交雑(移入交雑)で生じたとすればうまく説明がつくとした。雑種がアイスランドカモメと繰り返し交配(戻し交配/バック・クロス)することで、カナダカモメの持つ羽衣を暗色化(メラニズム)する遺伝子がアイスランドカモメに浸透(イントログレッション)する。
この仮説が正しければアイスランドカモメは1亜種(基亜種)だけが認められることになる。
カナダカモメ-kumlieni-アイスランドカモメの関係は、Larus cachinnans cachinnans-barabensis - L.heugliniの関係と同じかもしれない。barabensiscachinnansの遺伝子がホイグリンカモメに浸透した結果生じた可能性がある。
Kumlien's Gullは、『日本の野鳥590』で新称カムリアンアイスランドカモメとされたのだが、Kumlienをカムリアンとすることには当時強い抵抗を感じた。すでにカムリアンで話が通るようになってしまったので今更変更すべきとは思わないが、やっぱりラテン語風にクムリエン、あるいはドイツ語的にクムリーンなのでは(日本鳥類目録改訂第7版ではクムリーンアイスランドとされた)。
トゥーレ・クムリエン(発音はあまり自信はないが)はスウェーデン生まれの19世紀の鳥類学者で、後にアメリカに移住している。アメリカ人はもしかしたらカムリアンと発音するのかもしれない。ノーベル賞学者のティンベルヘンをティンバーゲンと発音するようなものか。
ところでそのティンバーゲンの『セグロカモメの世界』に、アイスランドカモメについてのとても興味深い話がある。東グリーンランドのアンマサリック族の人たちは、アイスランドカモメが潜って採食する習性を利用してそれを捕獲する仕掛けを開発した。ワタリガラスの初列風切を木片にプロペラのように取り付け、他方に重りと餌のアザラシの脂肪をつけ、水に浮かばせる。脂肪を捕ろうともぐったアイスランドカモメの翼がワタリガラスの羽に絡まってしまう。というわけである。

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Iceland Gull Larus glaucoides kumlieni "Kumlien's Gull"juvenile (U)090216 Japan.
アイスランドカモメ幼羽(U)090216千葉県。羽衣のパターンはセグロカモメxシロカモメによく似ている。第1回冬羽はかなり白くなる傾向にあることから、幼羽とした。初列がカナダより淡色で縁の白が目に付く。
同一個体が、あまみ家さんKoichi_78さんにより2月1日に観察されている(追記090406:このアイスランドカモメはあまみ家さんにより2号とよばれた個体で、キャプションに(U)を加えた)。事前にネットでイメージをインプットしておいたので、一目で同一だと思った。しかし、よくよく観察していると、「小さいシロセグロ」が頭をもたげる。「確かに餌を探して動き回っているときは分かりにくくて困りますが、最初からシロ×セグロの可能性は考えませんでした。」と、氏原さんにはメールをいただいた。
大きさはセグロカモメより小さいが、アイスランドにしては嘴が大きく、かつ足が長く見える。長旅で脂肪が落ちたか、羽を膨らませていないだけか、その両方か。頭部から体下面の一様な灰褐色はセグロカモメxシロカモメでは見られないと思う。

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Kumlien's Gull?adult winter 090216 Japan.
アイスランドカモメの可能性のある個体090216千葉県。通称「デカムリアン」。

追記090222:同じ日に見られたシロxセグロは第1回が3羽いた。そのうちアイスランドに似た羽衣の個体とそうでないものをともにを追加しておく。

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Putative hybrid Hybrid Glaucous Gull x Vega Gull 1st winter 090216Japan.
雑種シロカモメxセグロカモメ第1回冬羽090216千葉県。嘴のパターン、羽衣のパターンの差異に注目。
追記100417:最後の個体はワシxシロの可能性が高いかもしれない。


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アイスランドカモメ幼羽〜第1回冬羽(動画)090302茨城県・千葉県
早朝茨城県側の海面で見られたが、午後には千葉県側の干潟地で観察された。少なくとも2月1、3、16日に撮影されている。 ...続きを見る
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2009/03/03 21:35
アイスランドカモメ第1回冬羽(W)090331千葉県
今年の銚子は、アイスランドカモメ(とカナダカモメ)の当たり年なのだが、ここだけで多いとは考えにくい。日本の他の場所にも例年以上に渡って来ていると考えるほうが自然ではなかろうか。 もしそうなら、通常の鳥の渡りのコース、個体数が変動して、あまり見られない鳥が多く見られる「侵入(invasion)」と呼ばれる現象かもしれない。 ...続きを見る
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2009/04/06 22:37
亜種クムリーンアイスランドカモメ第3回冬羽180310東京都
Kumlien's Gull third winter 180310/first winter 160221 Japan. 今季の第3回冬羽東京個体と2年前の160221茨城個体の左アイリングの白斑の配列が一致した。この形質は2年の時を隔てて同一性を維持してる。 ...続きを見る
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2018/03/13 22:12

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