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zoom RSS 左巻きはいかに進化するか?ヒダリマキマイマイ130512千葉県(追加130605)

<<   作成日時 : 2013/05/16 23:23   >>

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Sought-after False Hadra 130512 Japan.
カタツムリは右巻きが多数派だ。カタツムリは雌雄同体だが繁殖には交尾が必要である。交尾は巻き型が異なると支障をきたす。右巻きばかりの個体群に左巻きの変異個体が生じても交尾できる配偶者が見つからず子孫を残すことはできない。右巻き遺伝子が多数派の遺伝子プールでは左巻き遺伝子は常に有害である。自然選択説に従えば自然選択に不利な左巻き遺伝子は淘汰される。しかし、左巻きはカタツムリの複数の系統でたびたび進化している。なぜか?有害な変異が維持される有名な例が、鎌状赤血球貧血症を引き起こす異常ヘモグロビンS遺伝子である。この遺伝子はホモ接合体で深刻な貧血を起こすが、ヘテロ接合体ではマラリア耐性を示す。したがって、マラリア流行地域では貧血症の損失を耐性の有利さが打ち消すため、変異遺伝子が選択される。
左巻きカタツムリの交尾における不利を打ち消す利得はこれまで不明であった。が、2007年、細らの右利きのヘビ仮説で、カタツムリを特異的に捕食するセダカヘビ科のヘビに対して左巻きが右巻きに比べ食べられにくいことが示された。セダカヘビは右側の歯の数が左側より明らかに多く、多数派の右巻きのカタツムリを捕食することに適応していたのだ。
マラリア流行地で変異ヘモグロビン遺伝子が選択されたように、セダカヘビ分布域で左巻き遺伝子は選択される。
では、セダカヘビのいない地域では左巻きはどうなるか?マラリヤのない地域で異常ヘモグロビンが淘汰されたように左巻きも淘汰されるのか。実際はヘビのいない地域でも左巻きはたびたび進化している。なぜか?
太田朋子の「分子進化のほぼ中立説」によれば、有効集団サイズが小さいとき、ほぼ中立である弱有害の変異が遺伝的浮動でしばしば集団に固定される。交尾での左巻きの不利は対面で交尾を行う平たい型のカタツムリでより顕著で、マウントにより交尾する細長い型のカタツムリでは比較的軽微である。したがって、細長い型のカタツムリにとって左巻きは弱有害の変異と考えられる。集団サイズは大陸より島(大陸から長期隔離された海洋島)のほうが小さくなる。このことから、島に生息する細長いカタツムリで左巻きが進化しやすいことが予想される。そして2012年細により、左巻きの割合が、セダカヘビ科の分布域と島を除いた世界の平均が6.9%であるのに対して、島では21.9%もあることがわかった。
さて、千葉県のヒダリマキマイマイの進化はどのように説明できるだろう。ヒダリマキマイマイの左巻き遺伝子の起源は大陸とつながっていた頃か、分断された後か、有効集団サイズはどれくらいか、不利を打ち消す利得はあるのか、解明にはハードルがかなりありそう。


参考
細(2011)生物の科学 遺伝65.2-8.
細(2013)生物の科学 遺伝67.385-390.
太田(2009)分子進化のほぼ中立説、講談社ブルーバックス

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Sought-after False Hadra 130602 Japan.

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