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zoom RSS ジシギの雌は雄の尾羽を数える?(改訂180630)

<<   作成日時 : 2018/06/27 23:07   >>

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チュウジシギの尾羽数は9%(7/82)が奇数である(小田谷(2015))。この事実は熟考に値する。
ヒト(やアカゲザル)では、シンメトリーな顔が異性に好まれる(例えばAnthony C Littleら(2007)Anthony C. Littleら(2008))。ショウジョウバエの雄の前脚ふ節にある性櫛のシンメトリーは性選択による(例えばPolak Mら(2004))。優良遺伝子(good gene)仮説によれば、雌は雄の持つ特定の形質(ここではシンメトリー)によって雄の遺伝的な質の優劣を査定する。
ジシギの雌が雄のシンメトリーを選好する(尾音で識別する)なら、奇数の尾羽を持つ♂の適応度は低下する。奇数の奏でる尾音は、雌の審美眼(ならぬ審美耳)には適わぬことになる。メイナード=スミスらによって定式化された進化生物学では、現生の生物の形質はすでに最適化されていると仮定するのが一般的である。であれば、雄の尾羽はシンメトリー(すなわち左右10枚ずつ)に最適化されているはずである。こうして考えてみると、少なくとも、19枚の個体(6個体)は雌の可能性が高い(ただし、21枚はもしかすると雄かもしれないが)。
別の可能性はあるだろうか。例えば、片側が多い(あるいは少ない)方が適応的である場合である。審美眼に適うアシメトリーとはいかなる状況で発現しうるか。ジシギの尾羽ではこのような状況は想定しにくいと考えていた。
アシメトリーといえば、ハシマガリチドリ、そしてイワサキセダカヘビである。異例中の異例である。
今回の関東ジシギ懇話会開始前の小田谷さんとの雑談で別の可能性に気付かされることとなる。行方如何に!?

画像
Latham's Snipe molting juvenile 030811 Japan.

雄の尾羽数の左右非対称はいかにして雌に知覚されるか。尾音への影響はあっても極小だろう。高性能のステレオ録音でも数cmの間隔しかない尾音を2つの独立した音源として分解することは不可能かもしれない。それを雌の耳が識別できるとすれば、それだけですごいインパクトの研究になる。
聴覚以外の可能性も捨ててはいけない。顔のアシメトリーを視覚が識別しているのだから、尾も眼でとらえられるだろう。ジシギの視細胞の密度は知らぬが、ヒトよりは高いだろう。ディスプレイフライトの時には尾は広げられるので見えるかもしれない。ただ暗いと難しいが。

私は先の関東ジシギ懇話会で、地鴫生物学宣言をした。場違いは承知の上で(岸さんすんません)懇話会の場を借りて、ジシギ研究の将来のスポンサーに、ジシギの研究がいかに生物学に貢献するかを訴えた。ジシギ研究はラボで、そして国内で収まるものでは決してなく、ユーラシアの各地に繰り出さねばならない。それには先立つものがどうしても必要となる。が、ジシギ研究を開拓するであろう若手研究者に潤沢な資金は望めない。私のようなベテラン(?)かつ金欠バードウォッチャーにも布石は打てるかな、と。

懇話会の最後のスライドに思いつく地鴫生物学的お題目を列挙した。これだけの内容を説明するためには少なくとも1時間を要す。それを1分の乱暴な説明で見せられた出席者はさぞ面食らっただろう、御免なさい。

そこには、ジシギ類を尾羽を増やす系統と捉えることで豊潤な生物学的地平を開拓しうることが詰め込まれている。今後少しずつそれらを紹介していく。

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