セグロカモメの亜種ビルラセグロカモメ(仮称)Larus vegae biluai を知ったのは16年前のBIRDER4月号だった。ホウゲンドウルンらはそこで、vegaeの上面濃さを「中ぐらい」としbirulai は「淡色ないし中ぐらい」とした。足は肉色~ピンク色。Kennerley(1994)はタイミル川個体群のうち足のピンクの個体全てをbirulai とし、上面はtaimyrensisより薄くvegaeと同じと記す。“Birds of China”(2000)では、vegaeより淡色、香港では一般的なセグロカモメとされる。Yesou(2002)はこの亜種を無効とした。それに対しMoores(2003)は、vegaeの亜種として有効とした。明らかに淡色で初列は長く頭は丸く体形はtaimyrensisと同様で、足はピンク、斑はぼけないと記す。vegae250羽にたいして1羽がbirulai とした。
これらを総合すると、birulaiは背が濃くなく足が黄色くないtaimyrensisということになるか。Olsen(2003)はvegaeの西部個体群は背が最も濃いとしている(最北部で最淡)。これはより背の濃いホイグリンとの交雑を考えれば納得できる。一方で 西部の亜種をbirulai としている(にわかには信じがたいが亜種vegaeより分布域が広い。これが本当なら日本ではtaimyrensisよりたくさん見られていいはずだ)。「背が最も濃い」はbirulaiは淡色であるという複数の記述に反する。Olsenはこの部分の歯切れは悪い。
さて今回の画像である。この個体の特徴は、背がセグロより淡色で初列の換羽が遅いことである。セグロの初列旧羽が全て脱落しているのに対し、P9-P10が旧羽である。足は黄色味はほぼなくより薄いピンクである。白い頭部には丸みがある。後頸の斑がややぼけてはいるが、birulai の特徴を満たしていると思う。こうした個体はどこから渡ってくるのか知りたい。
この記事へのコメント
おでん屋
seichoudoku
クラインからの逸脱、アソータティヴ・メイティングなし、等より私は翌日のエントリの通り、この亜種には懐疑的です。