スタイネゲルと亜種エゾオオアカゲラ(追加180815)

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White-backed Woodpecker Dendrocopos leucotos subcirris adult ♀830317 Japan.
亜種の記載は、普通に考えると逆のような気がするが、オオアカゲラよりもエゾオオアカゲラのほうが先だ。
1886年、亜種エゾオオアカゲラD.l.subcirris を記載したのは、スタイネゲルである。遅れること35年、亜種オオアカゲラD.l.stejnegeri が記載される。亜種名に「スタイネゲルの(stejnegeri)」が使われているが、ややこしいことに記載したのはスタイネゲルではない。黒田長禮(ながみち)である。先達へのオマージュ。さてスタイネゲルとは。
レオンハルト・スタイネゲルL.H.Stejneger(1851-1943)は、ノルウェー生まれのアメリカの鳥類学者で両生爬虫類学者である。日本鳥学会初代会頭の飯島魁は、日本鳥学会誌『鳥』の創刊号で、日本鳥学の創成期に貢献した鳥学者として、テミンク(飯島はテムミンクと表記している)やブラキストンらとともにスタイネゲルを挙げた。日本の鳥の学名を見れば彼の影響の大きさがうかがえる。
オオセグロカモメ、アカコッコ、イイジマムシクイ、リュウキュウカラスバト、ヒメシロハラミズナギドリを種として記載したのがスタイネゲルである。亜種としてアカガシラカラスバト、リュウキュウキジバト、リュウキュウヒヨドリ、スズメを記載したのも彼である。さらに亜種名stejnegeriは、ビロードキンクロ、ヨナグニカラスバト、イシガキヒヨドリ、ノビタキ、シチトウメジロに使用されている。ちなみに鳥ではないが、イシカワガエル、ナミエガエル、ハナサキガエル、クロサンショウウオ、キシノウエトカゲを記載したのも彼である。

ところで、スタイネゲルについて調べる過程で妙なことに気付いた。
まず、Stejnegerの読みをネットで調べたがなかなか出てこない。ネットでわからないから、手元の辞典や教科書を見るもやはりわからん。忘れられた人物なら、当たるべきは初版の『岩波生物学辞典』か。外国語索引のSの項を追う。あった!Stejneger line 526B。ふむふむ、ブラキストン線みたいな動物地理学的境界線だろうな。示された頁を繰る。やはり「ス」の項か。どれどれ、なに。ない!「ス」で始まる語を全部確かめたがやはりない。こはいかに。
想像するに、辞典編纂当初掲載されるはずだったStejneger lineの項目は、何らかの理由で削除された。しかし索引の方は消されなかった。

さて、そのあとドイツ語辞典を見ても載っていなかったので、再びネットに戻る。適当にカタカナを入れるしかない。字面からして英語はない。ゲルマン系だろう。jはたぶんジではなくイだろう。ドイツ語ではeiはアイだ。negerもンガーはないだろう。ということで試しにスタイネゲルと打つ。果たしてヒット。

修正170702: 語句の一部を書き換えた。

追加180815:
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亜種エゾオオアカゲラと亜種エゾアカゲラ180726国立科学博物館。大きさの違いがよくわかる。

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