鴎舞時 / OhmyTime

アクセスカウンタ

zoom RSS 亜種ヘイネイ(ロシアカモメ/ニシシベリアカモメ)第1回冬羽170105千葉県(改訂170108)

<<   作成日時 : 2017/01/07 22:35   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

画像
画像
画像
Fig.1 Tails of Larus canus complex 170105ABC Japan.
画像1: 個体A; 亜種ロシアカモメ(ニシシベリアカモメ、以下ロシア)Russian Common Gull L.c.heinei と思われる個体の第1回冬羽の尾のパターン。画像2、3: 個体BとC; 亜種カモメ(以下カモメ)Kamchatka Gull L.c.kamtschatschensisと思われる個体の第1回冬羽の尾のパターン。T6owは最外側尾羽(T6)の外弁を、UTCは上尾筒(の先端)を示す。UTC端を示す矢印と尾の黒帯(テールバー)との距離で、テールバーの広さ(太さ)が推測できる。画像1ではUTCとテールバーの間が比較的あるので、テールバーが狭い(細い)とわかる。画像3では、UTCとテールバーはわずかではあるが重なっており、テールバーが広い(太い)ことがわかる。
画像1から画像3の順に、上尾筒の暗色斑が多い、テールバーが広い、最外側尾羽外弁の暗色斑が多い傾向がある。
エイドリアンズとギビンズはDutch Birding (2016)でカモメ複合体(種群/上種)の識別に挑戦した。以下この論文にしたがって、亜種ロシアカモメと亜種カモメの第1回冬羽の違いを確認していく。筆者らは、黒海の東岸(ジョージア)と西岸(トルコ)のカモメを亜種ロシアカモメ、日本(主に銚子)と韓国のカモメを亜種カモメとしている。銚子に来ている(かもしれない)ロシアカモメは無視している。
第1回冬羽で最も重要な識別点は尾のパターンである。

1)テールバー型
 1型; シンプルなテールバー。
 2型; テールバーに隣接した点刻により陰ができる。
 3型; 尾がほぼ暗色。
 4型; 完全な暗色。
ロシアのテールバー型は1型が9割以上で、カモメは2型が6割、3型が3割で、ロシアでメジャーの1型はカモメではほとんど見られない。ちなみに北米産(亜)種コカモメでは、4型が6割で最多。
画像1(個体A)は、シンプルな細いテールバーであり、隣接部に点刻は全く見られず、テールバー型はロシアに典型的な1型である。画像2(個体B)は、テールバーの内側に点刻による陰ができた2型である。画像3(個体C)は3型であり、暗色部分が上尾筒に達しており、外側尾羽も基部まで点刻で覆われている。テールバー型を見ると、画像1はロシア、画像2、3はカモメとして問題ない。

2)最外側尾羽外弁型
 1型; 最外側尾羽の外弁は完全な白色。
 2型; 先端部分で暗色部がわずかに外側にはみ出している。
 3型; 点刻が尾の1/2を超えない。
 4型; 点刻が尾の1/2を超える。
 5型; 基部まで暗色が達している。
ロシアの最外側尾羽外弁型は、1型が9割以上で他の型はほとんど見られない。カモメでは、3型がほぼ半数、4型が4割であり、1型はほとんど見られない。
画像1のT6外弁は白色で暗色の点刻は全く見られないので1型である。画像2、3は点刻が1/2を超えているので4型である。最外側尾羽外弁型でも、画像1をロシア、画像2、3をカモメとするのが妥当である。

3)上尾筒型
 1型; 無斑。
 2型; わずかに斑がある。
 3型; 暗色斑は多いが白色部の方が多い。
 4型; 暗色部が白色部より多い。
ロシアは、1型が6割であり、2型が4割弱である。カモメは3型が8割、2型が2割である。
画像1の上尾筒は、若干縦斑あるいはV字形斑があるので2型である。画像2と3は斑が多いが、白色部より多くはないのでともに3型である。上尾筒型のみを見ると、画像2、3はカモメとして問題ないが、画像1はカモメの可能性を否定できない。
以上の結果から、画像1の個体は、ロシアカモメとするのが合理的だ。

次に、画像1-3の全身を示す。

画像
画像
画像
Fig.2 Russian Common Gull /Kamchatka Gulls first winter 170105ABC Japan.
画像4:個体A; ロシアカモメ。全体的に白っぽい。他個体に比べ一見して換羽が進んでいる。灰色部が比較的出ている。画像5、6 :個体BとC; カモメ。褐色の幼羽がかなり残っている。
以下に個体Aの画像を追加する。

画像
画像
画像
画像
画像
Fig.3 Russian Common Gull first winter 170105A Japan.
画像1、4と同一個体(個体A)。
サドル型
1型; 背と肩羽(サドル)はすべて第1回冬羽に換羽しており、幼羽は残っていない。
2型; 幼羽1/3未満。
3型; 幼羽1/3〜2/3。
4型; 幼羽が2/3を超える。
5型; すべて幼羽。
ロシアは1型が3割強、2型が半数であり、カモメでは1型は1割、2型が5割強である。カモメよりロシアでやや換羽が早く1型が多いが、両者とも2型が多数派であり、サドル型での識別は参考程度。この個体は、肩羽下列後方に幼羽が残っており、2型である。

個体Aの各型をまとめる。
個体A
テールバー型:  1型
最外側尾羽外弁型: 1型
上尾筒型:  2型
サドル型:  2型

ロシアとカモメの各型の多数派の組み合わせを以下にまとめる。
ロシアカモメ
テールバー型:  1型
最外側尾羽外弁型: 1型
上尾筒型:  1型
サドル型:  2型

カモメ
テールバー型:  2型
最外側尾羽外弁型: 3型
上尾筒型:  3型
サドル型:  2型

体部の斑はカモメよりロシアの方が少ない。ロシアでは、後頸の斑はシャープであり、多くの個体で脇は無斑であり、9割以上で下尾筒に斑がない。下雨覆と腋に斑が少ないのもロシアの特徴である。カモメの大雨覆は白っぽくなる傾向があるとされているが、ロシアより白いのかは不明。
この個体の頸部の班は少なくシャープである。脇、腋、翼下面の斑は少なく、下尾筒はほぼ無斑のようだ。ロシアとして矛盾はない。ただし、大雨覆は白っぽく見える。

ロシア第1回の嘴基部は基亜種より明るい肌(肉/フレッシュ)色、黄色からオレンジになることがある。カモメは幾分ピンクを帯びクロワカモメ第1回のそれを思わせる、とされる。この個体の嘴基部がカモメと有意な違いがあるとは言えない。
第1回の嘴の形状と大きさについては言及されていない。OlsenのGullsによれば、♀では長さに差がないが、♂ではロシアよりカモメの方が平均で1.7mm長い。基部の太さは、♀♂でそれぞれロシアよりカモメの方が1.1mm、0.6mm太い。この個体は周囲のカモメに比べてやや嘴が小さく見えた。ただ細い印象はあまりなかった。

各部分をエイドリアンズ、ギビンズに従って検討したが、本個体を亜種ヘイネイ/ロシアカモメ/ニシシベリアカモメとして問題ないと思われる。
同論文によれば、カモメとロシアの交雑帯がインジキルカ川からレナ川にかけてかなり広い範囲に広がっている。両亜種の中間的な形質のインターグレードがロシアとともに日本に渡ってくる可能性がある。以下にそうしたインターグレードの候補個体(個体D)を示す。

画像
画像
画像
Fig.4 Possible intergradeL.c.kamtschatschensis X heinei 170105D Japan.
テールバー型: 1型
最外側尾羽外弁型: 2型
上尾筒型: 2型
サドル型: 2型

テールバー型(と最外側尾羽外弁型)はロシア的だが、それ以外はロシア的な要素は弱い。体部や翼下面の斑の多さはどちらかといえばカモメ的である。個体Dのみ茨城県で撮影、個体A、B、Cは千葉県で撮影した。

以前のエントリーで触れたが、L.c.heinei をニシシベリアカモメとするのは分布域から適切ではないと思われる。エイドリアンズ&ギビンズ論文ではRussian Common Gullとしており、その訳語としても、また分布域を考慮してもロシアカモメのほうがしっくりするが、しばらくはこれまで通りヘイネイが無難か。







テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
亜種ヘイネイ(ロシアカモメ/ニシシベリアカモメ)第1回冬羽170105千葉県(改訂170108) 鴎舞時 / OhmyTime/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる